葉緑素の材料【マグネシウム(苦土)について】

yakumokaju

今回は「五大要素:窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)」の1つ「マグネシウム(Mg)」について語っていくよ!

ちょっと難しい話が出てくるかもだけど、理屈を知っていると栽培管理が変わるかも!

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マグネシウム(Mg)について

マグネシウムは肥料の5大要素(N・P・K・Ca・Mg)の1つです。

肥料としては一般に「苦土」と呼ばれます。

マグネシウムの主要な働きは下記の2つです。

  1. 光合成に必要な葉緑素の構成成分
  2. 生命活動に必要な酵素の働きを活性化する

①光合成に必要な葉緑素の構成成分

葉緑素(クロロフィル)の化学式は

クロロフィルa:C55H72MgN4O

クロロフィルb:C55H70MgN4O6

葉緑素(クロロフィル)の分子は中心にマグネシウムがある構造をしているんだ。

マグネシウムが無ければ、植物は光合成できないってこと!

②生命活動に必要な酵素の働きを活性化する

例えば、、、

ATPが関与する酵素反応に必要なのがマグネシウム。

ATP(アデノシン三リン酸)は生物にとってエネルギーの供給源となる分子!

近所のおっちゃん
近所のおっちゃん

通貨がお金のやり取りに使われるように、ATPは細胞内の様々な活動に共通してエネルギーを供給できるから、ATPは「生命のエネルギー通貨」とも呼ばれるな。

マグネシウムはそんな生き物には重要な物質【ATPに関わる重要な要素なんや。

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肥料成分としてのマグネシウム(Mg)

マグネシウム欠乏・マグネシウム過剰による症状

マグネシウムは植物体内を移動しやすいため、欠乏すると、古い葉っぱから新しい葉っぱへ再移動を行います。そのため、古い葉っぱから欠乏症状が発生します。

症状は葉脈間の黄化から始まり、欠乏症状が進むと葉脈以外がすべて黄化。落葉します。

マグネシウムの過剰施肥による過剰症はほとんどありませんが、マグネシウム資材の過剰施肥により、下記障害が発生することがあります。

カルシウムやカリウムの吸収阻害が発生し、カルシウムやカリウムの欠乏症が発生しやすくなります。

メモ

マグネシウム過剰がカリウム・カルシウムの吸収阻害を引き起こす理由

土壌の粘土・腐食部は電気的にマイナス(-電荷)でカリウムやカルシウム・マグネシウム・ナトリウム・アンモニアなどの陽イオン(+電荷)を吸着する能力があります。

この陽イオン吸着量をCEC(Catiom exchange capacity:陽イオン交換容量)と言います。

CECが高いほど、塩基類の保持能力が高くなります(保肥力が高くなります)。

マグネシウムを過剰施肥すると、土壌の陽イオンが吸着できるスペースのマグネシウム占有率が上昇してしまい、カリウムやマグネシウムといった他の陽イオンが土壌に吸着できるスペースが少なくなります。

結果、植物が吸収できるカリウムやカルシウムが少なくなり、カリウム・カルシウムの吸収阻害(カリウム・カルシウムの欠乏症)が発生します。

正直、マグネシウムの過剰施肥による障害はほぼ無いから、基本的に↓みたいなマグネシウム欠乏症を気にすることが多いね。

ブドウのマグネシウム欠乏症状

品目にもよるけれど、果樹栽培(落葉果樹)では一般に

元肥(12月~2月)のときに苦土石灰(苦土炭カル)を施肥することが多いかな。

マグネシウム(Mg)と緩効性の炭酸カルシウム(CaCO₃)がミックスされた土壌改良材だよ。

↓は苦土石灰に腐食酸とようりん、微量要素を配合したハイブリッドタイプ。

花野菜用とあるけれど、果樹栽培にもいいと思うよ。

カンキツ・ブドウなどはマグネシウム欠乏が出やすいね。

マグネシウム欠乏時、即効性の追肥としてマグネシウムを補給したい場合は【葉面散布】で与えるといいかも!

近所のおっちゃん
近所のおっちゃん

葉面散布用のマグネシウム肥料は色々種類があるから、ホームセンターで実際に製品を見てみるとええで!

果樹栽培に迷ったらこれ!

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やくも果樹研究所 所長(中の人)
やくも果樹研究所 所長(中の人)
元果樹専門 農業技師
根域制限栽培を中心に研究中。

農業技師時代の専門はカキ・イチジク・ブドウ
好きな果物はキウイ・洋ナシ
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