【葡萄の家系図】を紐解く⑤「神紅」

今回は島根県オリジナル品種「神紅(しんく)」の血統について語っていくよ!
神紅(しんく)シャインマスカット×紅バラード
島根県のオリジナル品種(2022年品種登録)
皮ごと食べられる赤系大玉品種。
20度を超える高い糖度と紅茶を思わせる豊潤な風味が特徴。

最近は都道府県ごとにオリジナル品種を育成・限定生産する動きが活発よな。

そうだね。
各都道府県ごとにブランド品種を育成することで差別化を図っているよね!
個人的にはこの動きはとても面白いと思っているし大歓迎!
今回は都道府県オリジナル品種紹介第一弾ということで「神紅」をピックアップ!
神紅の血縁について
神紅(しんく)シャインマスカット×紅バラード
シャインマスカット
「安芸津21号」×「白南」 2006年品種登録(農研機構育成品種)

豊洲市場ドットコム ブドウの家系図より
●安芸津21号
(スチューベン × マスカット・オブ・アレキサンドリア)
マスカット香とフォクシー香が混ざった香りをしており、香りは微妙であったとされるが、大粒で肉質が非常に優れる品種であったとされる。
※フォクシー香:グレープジュースのような甘い香り。アメリカ系ブドウ品種に由来する。
1)スチューベン
●ニューヨーク農業試験場が育成した品種。
●戦後日本に導入された、非常に歴史のある品種。
●耐寒性、耐病性が強く、栽培しやすい。
2)マスカット・オブ・アレキサンドリア
●エジプト原産品種。
●非常に歴史が古く、クレオパトラも食べたと言われていることから、「果物の女王」とも呼ばれる。
●姿・香り・味のすべてにおいて気品がある品種。
●マスカットの原種といわれる。


●白南
(カッタクルガン×甲斐路)
食味は最高、ただし汚れがとても出やすい、極端に作りにくい品種。といわれる。
1)カッタクルガン
●「食味は最高」と謳われる黄緑色品種。
●皮がとても薄く、皮ごと食べられる。
●皮が薄いことから、裂果がひどい。栽培難易度は最高難度。
2)甲斐路
「フレームトーケー」×「ネオマスカット」
●果皮が紅色の「フレームトーケー」と「ネオマスカット」を掛け合わせた品種。
●元祖 赤いマスカット。
●皮は薄いが、強靭で裂果しないことが特徴。
●糖度は18~23度と非常に高く、マスカット香がある、かつ、渋みが少ない食味優秀品種。
「シャインマスカット」の歴史
①マスカット・オブ・アレキサンドリアは食味は最高だが、とにかく栽培しにくい。
そこで、耐病性・耐寒性の優れたスチューベンを掛け合わせた。
出来上がったのは、肉質が優れ栽培しやすいが、香りがいまいちの「安芸津21号」
②マスカット・オブ・アレキサンドリアを血縁に持ち、皮が薄く汚れがでやすいが、食味最高な「白南」
「安芸津21号」・「白南」を掛け合わせて誕生したのが、
・皮ごと食べられる
・食味良好
・栽培しやすい
シャインマスカット
ベニバラード
「バラード」×「京秀」 2005年品種登録(米山孝之氏育成品種)

米山孝之氏が自身のほ場で「バラード」×「京秀」を掛け合わせ育成した品種。
8月中旬~9月上旬に収穫される着色良好な赤系ブドウ。
皮は薄く、皮ごと食べることもできる。
果肉は崩壊性でサクサクとした小気味よい食感が特徴。
●バラード
(バラディ × ゴールド)
糖度高く、酸味が少ない品種。果皮は黄緑色~黄白色。
皮が薄く、マスカット香を持つ、極早生品種(7月下旬~8月上旬に収穫できる)
1)バラディ
果皮ごと食べられる品種。
肉質は締まっており、歯ごたえが良いとされる。
収穫時期は9月中旬〜10月上旬。
2)ゴールド
詳細不明
●京秀
中国品種。
詳細不明だが、バラードが着色品種ではないため、赤色または黒系品種であったと思われる。
神紅の食味について
20度以上とされる高い糖度と酸味の少なさから数字以上に甘さを感じる。
【シャインマスカット由来のほのかなマスカット香】・【ベニバラード由来のわずかな皮の渋み】が織りなす風味が紅茶を思わせる。
一番の特徴は食感。
皮は薄くパリッと、果肉は崩壊性でサクサクと小気味いい。
食べていて楽しい食感が魅力。

色々書いたけど、要はとても美味しい赤系ブドウってこと!
たぶんサニードルチェが好きな人は好きだと思うよ!

ということで今回は島根県オリジナル品種「神紅(しんく)」の血統についてお話ししました。
まだまだ市場流通量は少ないから、お取り寄せになると思うけれど、ぜひ「神紅(しんく)」食べてみてね!
ブドウ栽培ガイド
ブドウ栽培に関する栽培ガイドを色々と作っています。
ぜひ、栽培ガイドをご覧ください!
栽培のポイントを細かくまとめています!
