今回は豊洲市場ドットコムが提供している「葡萄の家系図」から「ルビーロマン」について解説していくよ!!
●石川県オリジナル品種。(2007年品種登録)
※大玉黒系ブドウ「藤稔」の自然交雑品種。
●ルビーの名に恥じない鮮やかな紅色。
●数あるブドウ品種の中でも極大。
※粒重が概ね20g以上とされる。大粒になると30g以上。
※大玉品種の基準的な「巨峰」は15g程度。
●「糖度高く20度前後、酸少ない、渋み無し」と食味良好。
●香りはフォクシー香。
●「ルビーロマン」ブランドとして厳格な出荷基準を持つ。
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「ルビーロマン」
食味・色・大きさ・厳格な出荷基準など、日本国内でも有数のブランド品種。
血縁について
「ルビーロマン」
「藤稔」の自然交雑品種。
2007年品種登録。(石川県農業総合研究センター育成品種)
※「自然交雑品種」とは人工授粉ではなく自然的に受粉した種から育苗した品種のこと。
「ルビーロマン」は大玉で有名な「藤稔」の自然交雑品種。
自然的交雑によって得られた藤稔の種から選抜された品種なんだ!
まずは親である「藤稔」についてご紹介。
「藤稔(ふじみのり)」(別名:「大峰(たいほう)」)
「ピオーネ」 × 「井川682号」。
1985年品種登録(青木果樹園育成品種)
●最大の特徴は粒の大きさ。
大体500円玉ほどの直径。
●果肉はやわらかめ、皮はむきやすく多汁。
ジューシーという表現がぴったりのブドウ。
●もちろん糖度も高い。
「ピオーネ」:
1973年品種登録(井川秀雄氏育成品種)
●ブドウ品種の殿堂入りともいえる超有名品種。
※「ピオーネ」はイタリア語で「開拓者」という意味。
まさしくブドウ品種に新たなフィールドを開いた開拓品種。
●「巨峰」×「カノンホール・マスカット」の交配品種と長らく言われてきたが、そうではないという説が浮上。
今のところ正確な親情報が分かっていない出生に謎のある品種。
●「巨峰」を超える。を目標に育種された。
「巨峰」よりも大玉で香りも強い素晴らしい品種。
「巨峰」との違いは「さわやかな酸味」。
高い糖度の中に爽やかな酸味が味わえる。
糖度が高いブドウは数粒で胸がいっぱいになるが、「ピオーネ」は甘いのにたくさん食べられる・たくさん食べたくなるブドウ。
※「巨峰」は高い糖度&コクのある味わい。
●種なし処理したものを「ニューピオーネ」と呼ぶ。
「井川682号」:
「クロシオ」×(「フレームトーケ」×「オパーレ」)
●「ピオーネ」の生みの親 井川秀雄氏 育成品種。
●藤稔発祥の青木果樹園によると「ピオーネ」以上の大玉品種。
ただし、貯蔵性・日持ち性が悪い。
美味いが普及が難しい品種であったとされる。
個人的には「ピオーネ」が数あるブドウ品種の中で一番好き!!
静岡県ブドウ育種家 井川秀雄様には尊敬の念を抱いております。
「藤稔」は「ピオーネ」に大玉品種「井川682号」をかけあわせて誕生した超大玉品種。
貯蔵性・輸送性に優れる「ピオーネ」と大玉「井川682号」の良いところを引き継いだ品種だよ!!
「ルビーロマン」の歴史
「赤くて大粒のブドウ」を育種目標に石川県農業総合研究センター砂丘地農業研究センターが大玉黒系品種「藤稔」の自然交雑から選抜した品種。
親が黒系品種「藤稔」であることもあり、赤系ブドウとなっていたのは400粒中たったの4粒。
そこから、さらに品質・栽培適正を調査し1本のブドウが選抜された。
それが、鮮やかな紅色・食味良好・超大玉である「ルビーロマン」
※名前は名称公募から選定された。
本当に個人的な感想なんだけど、
農業試験場で品種育成している人はなぜか「赤系品種」が好きな人が多い印象があるね。
食味・ブランドについて
食味
●一番の特徴は大きさ。
一粒で口中がブドウで満たされる感覚。
果肉は適度な硬さでかみしめるとほぐれていきます。
●参考糖度は18度。(巨峰と同程度)
●酸は少ない。(巨峰よりも酸味は少なめ)
●フォクシー香がある。
※フォクシー香:グレープジュースを彷彿とさせる甘い香り。
巨峰・ピオーネも同様にフォクシー香を持つ。
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「巨峰」よりも甘さがストレートに来る食味。とにかく大粒。
そして鮮やかな果皮が高貴さを醸し出す。
やっぱり一番のポイントは「大きさ」だよね。
普通に美味しい品種だと思うけれど、個人的には「厳格な出荷基準」こそが「ルビーロマン」を「ルビーロマン」たらしめていると思うな。
「ルビーロマン」というブランドについて
●厳格な出荷基準
品種として「ルビーロマン」であっても、「房量、粒ぞろいが優れ、粒重が概ね20g以上のもの」・「規定糖度以上のもの」・「規定着色基準以上のもの」などの厳しい基準をクリアしないと「ルビーロマン」として出荷できない。
1房ずつ専門の検査員がチェックする徹底ぶり。
出荷規格も5段階と細かく分かれており、最高品「PREMIUM」にいたっては出荷基準が厳しすぎてクリアできる房が本当にほとんどないことで有名。
まさしく「PREMIUM」。
●斬新なブランド化手法
行政が輩出した新品種ではあるが「ブランド食材プロデューサー」を民間企業より起用。
主に首都圏での斬新なプロモーションを実施。
●徹底した品種流出防止策
絶対に県外へ「ルビーロマン」が流出しないよう、栽培農家以外に苗木が流出しないよう生産者・県・JAグループが固い絆で結ばれた出荷体制を確立。
ここも「ルビーロマン」の凄み。
「ルビーロマン」と言えば初競りで高額になることが有名!!
最近だと2020年に1房130万円の値が付いたよ。
初競りはご祝儀価格になることが多いけれど、ここまで高値の競りにすることができるのは「ルビーロマン」のブランドのたまもの!!
栽培難易度について
これに関してはノーコメント!!
石川県の契約農家さん以外栽培ができないからね。
この徹底ぶりも「ルビーロマン」の魅力だよね。
独断と偏見による総評
「ルビーロマン」は「ブランド化の成功事例」
の一言に尽きると思うな。
もちろん「ルビーロマン」は品種自体も素晴らしい!!
だけど、それ以上に生産者・県・JAグループが「ルビーロマン」という品種・ブランドを大切にしているのが県外の僕にも強く感じられるんだ。
それが「ルビーロマン」を唯一無二の超大玉ブドウ「ルビーロマン」たらしめているいるし、ここまで魅力的なブドウに成長させたんじゃないかと思うな。
個人的にはもう少し手に入りやすくなるとさらに嬉しいけれど、「手に入りにくい」ということが「ルビーロマン」の付加価値でもあるから。
よく設計されたブランドだなぁとしみじみ思っちゃうね。