【葡萄の家系図】を紐解く① 似て非なるもの!「シャインマスカット」と「瀬戸ジャイアンツ」


今回は豊洲市場ドットコムさまが提供している「葡萄の家系図」から、
「シャインマスカット」と「瀬戸ジャイアンツ」の系統ついて、解説していきます!
①シャインマスカット
言わずと知れた「皮ごと食べられるマスカット」
「これからのブドウは、皮ごと食べれないと流行らない」という、新しい基準を作り出した歴史的品種。
②瀬戸ジャイアンツ
シャインマスカットより15年以上前に品種登録された、皮ごと食べられる緑系品種。
岡山県で主に栽培される。

「シャインマスカット」と「瀬戸ジャイアンツ」って見た目が似とるよね。
ほとんど同じ品種なんじゃないの?



と思うでしょ?
でも、実際は血縁が少し異なる品種なんだ。
もちろん、品種特性も違うよ!

品種の血縁について
シャインマスカット
「安芸津21号」×「白南」 2006年品種登録(農研機構育成品種)

豊洲市場ドットコム ブドウの家系図より
●安芸津21号
(スチューベン × マスカット・オブ・アレキサンドリア)
マスカット香とフォクシー香が混ざった香りをしており、香りは微妙であったとされるが、大粒で肉質が非常に優れる品種であったとされる。
※フォクシー香:グレープジュースのような甘い香り。アメリカ系ブドウ品種に由来する。
1)スチューベン
●ニューヨーク農業試験場が育成した品種。
●戦後日本に導入された、非常に歴史のある品種。
●耐寒性、耐病性が強く、栽培しやすい。
2)マスカット・オブ・アレキサンドリア
●エジプト原産品種。
●非常に歴史が古く、クレオパトラも食べたと言われていることから、「果物の女王」とも呼ばれる。
●姿・香り・味のすべてにおいて気品がある品種。
●マスカットの原種といわれる。


●白南
(カッタクルガン×甲斐路)
食味は最高、ただし汚れがとても出やすい、極端に作りにくい品種。といわれる。
1)カッタクルガン
●「食味は最高」と謳われる黄緑色品種。
●皮がとても薄く、皮ごと食べられる。
●皮が薄いことから、裂果がひどい。栽培難易度は最高難度。
2)甲斐路
「フレームトーケー」×「ネオマスカット」
●果皮が紅色の「フレームトーケー」と「ネオマスカット」を掛け合わせた品種。
●元祖 赤いマスカット。
●皮は薄いが、強靭で裂果しないことが特徴。
●糖度は18~23度と非常に高く、マスカット香がある、かつ、渋みが少ない食味優秀品種。
「シャインマスカット」の歴史
①マスカット・オブ・アレキサンドリアは食味は最高だが、とにかく栽培しにくい。
そこで、耐病性・耐寒性の優れたスチューベンを掛け合わせた。
出来上がったのは、肉質が優れ栽培しやすいが、香りがいまいちの「安芸津21号」
②マスカット・オブ・アレキサンドリアを血縁に持ち、皮が薄く汚れがでやすいが、食味最高な「白南」
「安芸津21号」・「白南」を掛け合わせて誕生したのが、
・皮ごと食べられる
・食味良好
・栽培しやすい
シャインマスカット
瀬戸ジャイアンツ
「ネオマスカット」×「グザルカラー」 1989年品種登録(花澤ぶどう研究所育成品種)

●ネオマスカット
(マスカット・オブ・アレキサンドリア × 甲州三尺)
マスカット・オブ・アレキサンドリアに、耐病性と裂果耐性を付与した特性を持つ。
栽培難易度が高く、施設栽培でないと栽培困難な「マスカット・オブ・アレキサンドリア」に対し、「露地栽培でも栽培可能なマスカット」を目標に育成された品種。
1)マスカット・オブ・アレキサンドリア
前文の安芸津21号メモを参照。
2)甲州三尺
●三尺(90cm)という名のとおり、とても長い房になる品種。
●耐病性があり、皮が強いのが特徴の緑系品種。
●クザルカラー
情報が少ない黒系品種。
あっさりとした風味と皮が薄い特徴を持つとされる。
「瀬戸ジャイアンツ」の歴史
①マスカット・オブ・アレキサンドリアに、耐病性・裂果耐性を付与した「ネオマスカット」
②あっさりとした風味と皮が薄い特性を持つ、黒系品種「クザルカラー」
両種を掛け合わせて誕生したのが、
・シャインマスカットよりも皮が薄く皮ごと食べられる
・上品で繊細な風味といった特性をもつ
瀬戸ジャイアンツ
食味について

やっぱり気になるのは味の違い。
「シャインマスカット」と「瀬戸ジャイアンツ」は結構味が違うよ!
●甘味
シャインマスカット > 瀬戸ジャイアンツ

シャインマスカットの方が糖度も高く、ストレートな甘さが味わえるね。
瀬戸ジャイアンツも十分甘い品種だけど、親である「クザルカラー」の特性からか、あっさりとした上品で繊細な甘さかな。
しっかり甘いマスカットなら「シャインマスカット」
あっさり爽やかなら「瀬戸ジャイアンツ」
●皮の薄さ・食感
瀬戸ジャイアンツ(薄い) > シャインマスカット (厚い)

瀬戸ジャイアンツは皮が薄いことが大きな特徴。
「口に入れると皮がはじけて果肉と果汁が飛び出す食感」はシャインマスカットにはない特徴だね。
シャインマスカットは、皮ごと食べることができるけれど、少し皮が厚いから、口の中に皮が残る感じがあるね。
小さなお子さんに食べ比べてもらうと、シャインマスカットよりも瀬戸ジャイアンツの方が、好きな子が多い印象。
果肉のジューシーさなら「シャインマスカット」
皮残りせず、はじける食感なら「瀬戸ジャイアンツ」
栽培難易度について
瀬戸ジャイアンツのほうが栽培は難しい

瀬戸ジャイアンツは、皮が薄いことが美味しさのポイントなんだけど、皮が薄いから果実に傷がつきやすいし、裂果もしやすいね。
シャインマスカットの方が栽培しやすいかな。

ということで、
今回は豊洲市場ドットコムが提供している「葡萄の家系図」から、「シャインマスカット」と「瀬戸ジャイアンツ」について血縁を紐解いてみました。
ぜひ、2品種食べ比べてみてね!
「葡萄の家系図」について詳しくは豊洲市場ドットコムをチェック!
ブドウ栽培ガイド
ブドウ栽培に関する栽培ガイドを色々と作っています。
ぜひ、栽培ガイドをご覧ください!
栽培のポイントを細かくまとめています!



