「秋を代表する果物を育てたい」
「栽培が簡単な果樹を育てたい」
といった方におススメの品目です。
「甘柿」と「渋柿」の2種類がありそれぞれ特徴があります。
農業技師自時代に担当していた品目なので得意品目です。
品目一覧はこの記事をチェック。
より詳しく知りたい場合はこちらの本もおススメ!
カキ栽培の難易度や栽培概要はざっくりこんな感じ!
栽培難易度:■■□□□(簡単)
収穫時期:9月中旬~11月中旬
収穫までの必要年数(鉢植え):3~4年
収穫までの必要年数(地植え):4~5年
おすすめ品種:富有(ふゆう)、太秋(たいしゅう)、西条(さいじょう)
栽培適地:全国
※甘ガキは冷涼な地域ではうまく渋がぬけません。関東以北の冷涼な地域では渋ガキをおススメします。
1品種でなるか:〇(1本でなる)
※受粉樹があると生理落果を抑えることができます。
おススメ仕立て方:開心自然形(鉢植え・地植え どちらでも)
①栽培が簡単!
②季節ごとに変化がある!
③果実を食べるだけじゃない!
おススメポイント① 栽培が簡単!
栽培しやすいポイント
①致命的な病害虫が少ない
②1本でも果実がなる
①致命的な病害虫が少ない
正直に言うと、雨ざらしで無農薬栽培していると病気や害虫被害は発生するよ。
ただ、他の果樹と比べて収穫不能となってしまうほどの「致命的な病害虫」が少ない気がするな。
ほったらかしにしても大丈夫ってこと?
せっかく栽培するのなら、しっかり手をかけた方が楽しいと思うけれど、ちょっとほったらかしでもなんとかなることが多いよ。
放っておいてもある程度収穫できるから、ここまで家庭果樹として普及したのかもしれないね。
②1本でも果実がなる(品種によっては受粉樹あるとさらに良し)
果樹はスペースを取りやすいため、1本で果実がなるのは大きなメリットです。
これって普通じゃないん?
そんなこと無いよ。
果樹は1本では「結実しない」・「結実しにくい」品目が結構多いんだ。
その場合は受粉樹と言って受粉を促すための品種も一緒に植えるんだけど、1品目で2本以上植えるのは負担が大きいよね。
だから、「1本でも果実がなる」っていうのは大きなメリットだよ。
おススメポイント② 季節ごとの変化がある!
カキは古くから日本で栽培されています。
懐かしい秋景色というと「山里に柿がたわわに実っている」そんな風景をイメージしてしまいます。
カキは果実の収穫も楽しみですが、お庭を彩るシンボルツリーとして魅力的です。
1本植えるだけでお庭を四季折々に彩ってくれると思います。
お庭に柿の木があると風情があっていいかも。
収穫せずほったらかしにしていると熟した果実でお庭が汚れちゃうから、食べきれる量だけ栽培したい場合は鉢植え栽培がおススメ!
おススメポイント③ 果実を食べるだけじゃない!
カキは果実以外にも収穫物があるんだ!!
次の3つだね。
1)葉っぱ
カキの葉は「高血圧」「動脈硬化」「抗菌」に効果があるとして茶葉として古くから利用されています。
4~6月ごろの若葉を「陰干し」→「天日干し」して作ります。
1点だけ注意!!
必ず「農薬散布していないカキの葉」を使ってね。
2)幼果
「渋ガキ品種」の幼果は柿渋の原料になります。
お家で作るのは少し難易度が高いかもしれませんが、お家でも仕込むことは可能です。
柿渋染めに興味がある方は自分で柿渋から作ってみるのも面白いかもしれません。
僕も1回作ってみましたが、かなり根気はいります。
あと、においが発生したり、結構汚れるので屋外の作業小屋などがないと難しいかも。
3)果実
一番メジャーなカキの楽しみ方です。
「甘ガキならそのまま」・「渋ガキなら渋抜きしたり干し柿にしたり」といろいろな楽しみ方があります。
①「甘ガキ」・「渋ガキ」がある。
②渋ガキは「渋抜き」しないと食べられない。
注意ポイント① 「甘ガキ」・「渋ガキ」がある
植えてから意外と困ってしまうことがあります。
カキは「甘ガキ」と「渋ガキ」の2種類があります。
分類 | 特徴 | |
甘ガキ | 完全甘ガキ |
タネの有無に関係なく常に甘くなる。 |
不完全甘ガキ | タネが十分入ると甘くなる。 | |
渋ガキ | 不完全渋ガキ | タネが入っていても渋み部分が多く、「渋抜き」しないと食べられない。 |
完全渋ガキ | タネの有無に関係なく常に渋い。「渋抜き」しないと食べられない。 |
①熟期(9月)に暖かいこと
おおよその基準は
「9月の平均気温が20℃以上あるかどうか」
冷涼な地域だと、甘ガキ品種でも渋みが残ってしまいます。
寒い地域では甘ガキ品種は難しいかも。
甘ガキの産地が九州や暖かい地域に多いのはこういう理由だね。
②果実にタネが十分入っていること
甘ガキ品種は「完全甘ガキ」と「不完全甘ガキ」の2種類があります。
「不完全甘ガキ」はタネが十分入っていると渋みが抜けやすくなります。
※不完全品種は少ないため、そこまで気にしなくてもいいかもしれません。
ちなみに品種問わず、種がしっかり入っていた方が糖度が高くなるよ。
消費者目線だとタネがないほうが食べやすいけど、味を追求している農家さんは受粉樹をしっかり植えて種をしっかり入れているね。
いずれにせよ、興味ある品種が「完全甘ガキ」「不完全甘ガキ」「渋ガキ」どれに分類されるかは植える前に確認した方が無難です。
注意ポイント② 渋ガキは「渋抜き」しないと食べられない。
一番身近な「渋抜き」は干し柿にすることです。
干さずに渋を抜く場合は「お湯につける」「ドライアイス処理」「アルコール処理」といった方法があります。
※市場流通品は基本的に「ドライアイス処理」です。
「渋抜き」って言われてもどうしたらいいかイメージが湧かんわ。
品種によって渋抜き処理の時間が変わってくるから結構慣れが必要なんだ。
そこが面白いところでもあるんだけどね。
「渋抜き」の方法によって味が大きく変わるから、発見があって楽しいよ!
個人的には「アルコール処理」がおススメ!スーパーで販売されているカキとは全然違う美味しさ!
「渋抜き」の方法でそんなに違うもの?
もちろん!
どんな素材も調理方法で美味しさが変わるようにカキも「渋抜き」で味が大きく変わるんだ!
同じ品種で「渋抜き」処理方法の違いにより食べ比べしてみると面白いかも!
- 富有(ふゆう)※完全甘柿
- 太秋(たいしゅう)※完全甘柿
- 西条(さいじょう)※完全渋柿
①富有(ふゆう)
「カキと言えば富有(ふゆう)」・「富有(ふゆう)と言えばカキ」と言えるほど有名な品種です。
日本で一番多く生産されているカキ品種です。
②太秋(たいしゅう)
非常に美味しい品種です。
美味しさの理由はその食感です。
「ナシのようにシャクシャクした食感は食べていて楽しく、果汁も多く糖度も高い」と食味面で言うということがありません。
欠点として「果実に汚れが出やすいこと」・「着果が安定しないこと」があります。
ちょっと栽培しにくいですが、お家でカキの高級品種を栽培するのはロマンがあります。
③西条(さいじょう)
渋ガキの中で個人的一番のおススメ品種です。
理由は「美味しいから」です。これにつきます。
渋ガキの良さは「果汁が多く、柔らかい。甘ガキには無い食味」です。
西条(さいじょう)はその極地だと思っています。
糖度高くねっとりとした食感は「マンゴー」を彷彿とさせます。
ただ、致命的な弱点があります。
「渋抜き」してから極端に日持ちしません。
それゆえ市場に出回りにくく、主要産地以外ではめったにお目にかかれません。
だからこそ栽培をおススメします。
個人的には西条(さいじょう)が一番おススメ!
他の品種はけっこう流通しているけど、美味しい西条(さいじょう)には産地周辺じゃないとなかなか出会えないからね。
初めて果樹栽培をする時に恐らく一番悩むのが仕立て方です。
果樹栽培では着果習性を利用しながら品目ごとに仕立て方を変えていきます。
カキにも色々な仕立て方があるけど、
王道は・・・
開心自然形(かいしんしぜんけい」)
【開心自然形のカキ】
今回は個別品目紹介:カキ
ということでカキ栽培を始める前の概要についてさらっとお話ししました!
カキ栽培のまとめはこの記事をチェック。
品目一覧はこの記事をチェック!