ブドウ

【葡萄の家系図】を紐解く③ 「ルビーロマン」

yakumokaju

今回は豊洲市場ドットコムさまが提供している「葡萄の家系図」から、

「ルビーロマン」について解説していくよ!

写真提供:石川県観光連盟

「ルビーロマン」

食味・色・大きさ・厳格な出荷基準など、日本国内でも有数のブランド品種。

●石川県オリジナル品種。(2007年品種登録)

※大玉黒系ブドウ「藤稔」の自然交雑品種。

●ルビーの名に恥じない鮮やかな紅色。

●数あるブドウ品種の中でも極大。

●「糖度高く20度前後、酸少ない、渋み無し」と食味良好。

●「ルビーロマン」ブランドとして厳格な出荷基準を持つ

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品種の血縁について

ルビーロマン

「藤稔」の自然交雑品種。

2007年品種登録。(石川県農業総合研究センター育成品種)

※「自然交雑品種」とは人工授粉ではなく、自然的に受粉した種から育苗した品種のこと。

豊洲市場ドットコム ブドウの家系図より

「ルビーロマン」は大玉で有名な「藤稔」の自然交雑品種。

自然的交雑によって得られた、藤稔の種から選抜された品種なんだ!

まずは親である「藤稔」についてご紹介!

「藤稔(ふじみのり)」

「ピオーネ」 × 「井川682号」 1985年品種登録(青木果樹園育成品種)

●最大の特徴は粒の大きさ。大体500円玉ほどの直径。

●果肉はやわらかめ、皮はむきやすく多汁。ジューシーという表現がぴったりのブドウ。

●もちろん糖度も高い。

さらに血統をさかのぼって、藤稔の親である「ピオーネ」・「井川682号」についてみていくよ!

「ピオーネ」

 1973年品種登録(井川秀雄氏育成品種) 

●ブドウ品種の殿堂入りともいえる超有名品種。

「ピオーネ」はイタリア語で「開拓者」という意味。

「巨峰を超える」を目標に育種された。

「巨峰」よりも大玉で香りも強い素晴らしい品種。

「巨峰」との違いは「さわやかな酸味」

高い糖度の中に爽やかな酸味が味わえる。

糖度が高いブドウは数粒で胸がいっぱいになるが、「ピオーネ」は甘いのにたくさん食べられる・たくさん食べたくなるブドウ。

●種なし処理したものを「ニューピオーネ」と呼ぶ。

「井川682号」

「クロシオ」×(「フレームトーケ」×「オパーレ」)

●「ピオーネ」の生みの親 井川秀雄氏 育成品種。

●「貯蔵性・日持ち性が悪い、美味いが普及が難しい品種」であったとされる。

個人的には「ピオーネ」が数あるブドウ品種の中で一番好き!!

静岡県ブドウ育種家 井川秀雄様には尊敬の念を抱いております。

「藤稔」は「ピオーネ」に大玉品種「井川682号」をかけあわせて誕生した超大玉品種。

貯蔵性・輸送性に優れる「ピオーネ」と大玉「井川682号」の良いところを引き継いだ品種だよ!!

「ルビーロマン」の歴史

「赤くて大粒のブドウ」を育種目標に、石川県農業総合研究センター砂丘地農業研究センターが大玉黒系品種「藤稔」の自然交雑から選抜した品種。

親が黒系品種「藤稔」であることもあり、赤系ブドウとなっていたのは400粒中たったの4粒。

そこから、さらに品質・栽培適正を調査し1本のブドウが選抜された。

それが、

鮮やかな紅色

・食味良好

・超大玉である「ルビーロマン」

※名前は名称公募から選定された。

本当に個人的な感想なんだけど、農業試験場で品種育成している人は「赤系品種」が好きな人が多い印象があるね。

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食味について

●一番の特徴は大きさ。

一粒で口中がブドウで満たされる感覚。

果肉は適度な硬さでかみしめるとほぐれていきます。

●参考糖度は18度。(巨峰と同程度)

●酸は少ない。(巨峰よりも酸味は少なめ)

●フォクシー香がある。

※フォクシー香:グレープジュースを彷彿とさせる甘い香り。

巨峰・ピオーネも同様にフォクシー香を持つ。

「巨峰」よりも甘さがストレートに来る食味。

一番の特徴は大きさ、ブドウをほおばる感覚。

一番のポイントは「大きさ」だよね。

普通に美味しい品種だと思うけれど、個人的には「厳格な出荷基準」こそが「ルビーロマン」を「ルビーロマン」たらしめていると思うな。

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「ルビーロマン」というブランドについて

写真提供:石川県観光連盟

●厳格な出荷基準

品種として「ルビーロマン」であっても、「房量、粒ぞろいが優れ、粒重が概ね20g以上のもの」・「規定糖度以上のもの」・「規定着色基準以上のもの」などの厳しい基準をクリアしないと「ルビーロマン」として出荷できない。

1房ずつ専門の検査員がチェックする徹底ぶり。

出荷規格も5段階と細かく分かれており、最高品「PREMIUM」にいたっては、出荷基準が厳しすぎて、クリアできる房がほとんどないことで有名。

まさしく「PREMIUM」。

●斬新なブランド化手法

行政が輩出した新品種ではあるが「ブランド食材プロデューサー」を民間企業より起用。

主に首都圏での斬新なプロモーションを実施。

●徹底した品種流出防止策

絶対に県外へ「ルビーロマン」が流出しないよう、生産者・県・JAグループが固い絆で結ばれた出荷体制を確立。

ここも「ルビーロマン」の凄み。

「ルビーロマン」と言えば初競りで高額になることが有名!!

2020年に1房130万円の値が付いたこともあったね。

初競りはご祝儀価格になることが多いけれど、ここまで高値の競りにすることができるのは「ルビーロマン」のブランドのたまもの!!

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栽培難易度について

これに関してはノーコメント!!

石川県の契約農家さん以外栽培ができないからね。

この徹底ぶりも「ルビーロマン」の魅力だよね。

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独断と偏見による総評

「ルビーロマン」は「ブランド化の成功事例」の一言に尽きると思うな。

もちろん「ルビーロマン」は品種自体も素晴らしい!!

だけど、それ以上に生産者・県・JAグループが「ルビーロマン」という品種・ブランドを大切にしているのが県外の僕にも強く感じられるんだ。

それが「ルビーロマン」を唯一無二の超大玉ブドウ「ルビーロマン」たらしめているいるし、ここまで魅力的なブドウに成長させたんじゃないかと思うな。

個人的にはもう少し手に入りやすくなると、さらに嬉しいけれど、「手に入りにくい」ということが「ルビーロマン」の付加価値でもあるから、よく設計されたブランドだなぁとしみじみ思っちゃうね。

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独断と偏見による総評

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やくも果樹研究所 所長(中の人)
やくも果樹研究所 所長(中の人)
元果樹専門 農業技師
根域制限栽培を中心に研究中。

農業技師時代の専門はカキ・イチジク・ブドウ
好きな果物はキウイ・洋ナシ
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