薬剤散布の基礎知識【剤型について】

今回は薬剤散布の基礎知識「農薬の剤型」について語っていくよ!
「使用する農薬がどんな種類なのか」を理解すれば、果樹栽培の病害虫被害がちょっと変わると思うよ!
剤型とは? 農薬の種類

剤型とは・・・
ものすごくざっくり言うと、
粉剤・粒剤・液剤などの製剤形態のこと!

剤型によって取り扱いのコツが違うんやで。
剤型を理解すると、
●農薬の効果をしっかり発揮できたり。
●無駄が少し減ったり。
栽培管理がちょっと変わるかもな。
薬剤散布で使用する農薬の剤型
- 展着剤:【薬剤の効果を高める】&【安定させる】ために使用する薬。主要成分は界面活性剤
- 液剤:水溶性の成分を水に溶かした薬。
- 乳剤:薬効成分を有機溶媒に溶かし、さらに、乳化剤によって水に溶けるようにした薬。
- 水溶剤:水に溶ける薬。
- 水和剤:水に溶けない薬。
- ドライフロアブル剤:水に溶けにくい有効成分を微細な顆粒状に加工し、水に分散しやすくした顆粒状の薬。(剤型は水和剤に分類)
- フロアブル剤:水に溶けにくい有効成分を微細な粒子にして水に分散させた、液体状の薬。(剤型は水和剤に分類)

剤型は色々あるね!
剤型ごとに大きな違いは水に溶けるか・溶けないか!
剤型の違いと水への溶けやすさ
剤型によって水への溶けやすさに違いがあります。
①が最も水に溶けやすく、⑦が最も水に溶けにくい薬剤です。
- 展着剤(テ)
- 液剤(エ)
- 乳剤(ニ)
- 水溶剤(ス)
- ドライフロアブル(ド)
- フロアブル(フ)
- 水和剤(ス)
薬剤は水に溶けやすい順番に加えます。
複数種類の薬剤を混用する場合は①→⑦の順番に混ぜると、均一に分散し、薬液跡が残りくくなったり、効果も上がります。

各薬剤の頭の文字を取って、【テエニスドフス】と覚えよう!
剤型ごとの注意点

前段で【剤型ごとの水への溶けやすさ】を話したけれど、水の溶けやすさは超重要!

一番注意が必要なのが水和剤!
水和剤グループ(水に溶けない有効成分の薬剤)の特徴
- 水和剤(粉状):粒子が大きく、タンク内で沈殿しやすく、均一散布しにくい。
- フロアブル剤:(液状):水和剤に水を混ぜて、ドロドロの液状にしたもの。水和剤よりも沈殿しにくいが、容器の中で沈殿するため、使用時にはしっかり容器を振ってから使用する。
- ドライフロアブル剤(顆粒状):水和剤を水に分散させ、再び乾燥・顆粒化した薬。沈殿しにくく、調整もしやすい。タンクに直接入れ、混ぜるだけで使用できる。

水和剤グループの薬剤の取り扱いにポイントは↓
水和剤の取り扱い
水和剤は水に溶けないため、常に混ぜておかないと、タンクの底に沈殿してきたり、タンク上下で濃度差が発生してしまいます。
「水和剤は薬害が出やすい・効果にムラがある。」と言われるのはこのためです。
水和剤は水に溶けないため、混ぜ方にコツがあります。

水を張ったタンクに直接入れると、ダマができるからな。
水和剤の混ぜ方は↓のようにするのが基本やな。
①少量の水に少しずつ加えながら、小麦粉を練るようにバケツ内で混ぜ合わせ、ペースト状にする。
②徐々に水を足して、さらに混ぜ、十分に混ぜあわせる
③バケツで十分に混ぜ合わせた②をタンクに入れ、かき混ぜながら、水を加えていき、希釈していく。
ドライフロアブルの取り扱い
ドライフロアブル剤は水和剤グループの薬剤ですが、水和剤のように少量の水を入れて練っていくと、固まってしまい、使用できなくなるため、水を張ったタンクに直接入れて混ぜましょう。
フロアブルの取り扱い
容器の底に成分が沈殿しているため、容器を逆さまにして上下左右にしっかり振ることが大切。
しっかり振った後は、ドライフロアブルと同じように、水を張ったタンクに直接入れてしっかり混ぜます。

水和剤は取り回しが悪いから、水和剤グループの薬剤でも、ドライフロアブルやフロアブル剤を使用するほうが作業しやすいね。

水和剤と名前が似ている水溶剤は水に溶けやすいで。
水溶剤(粉剤)を小さな顆粒状にした顆粒水溶剤は、取り回しがよくておススメやな。
