カキ

渋柿 渋抜きのメカニズム

yakumokaju

今回は渋柿 渋抜き(脱渋)のメカニズムについて語っていくよ。

ちょっと難しい話が出てくるかもだけど、理屈を知っていると捗ることもあるかも!

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渋柿 渋みの正体

渋柿の渋みは【水溶性タンニン】と呼ばれる化合物が原因です。

水溶性はその名の通り、水に溶ける性質を持っているので、舌の味覚で渋さを感じます。

実は、渋抜きは、渋みのもと【水溶性タンニン】を除去しているわけではなく、水に溶けない【不溶性タンニン】に変化させているんだ。

水に溶けなくなると、舌の味覚で渋さを感じなくなるから、「渋が抜けた。」なんて言っているんだね。

渋抜きにはアルコールやドライアイス、干し柿など色々な方法があるけれど、これらの方法は全て水溶性タンニンを不溶性タンニンに変化させているんだ。

メモ

アルコール脱渋

アルコール度数40度前後のお酒をヘタ部分に浸け、ビニール袋やジップロックなどで密閉保管する方法。

ドライアイス脱渋

果実重量に対し、1%のドライアイスを封入して、袋で密閉保管する方法。

干し柿

ヘタを切り取り、皮をはいだ後、乾燥させる方法。

脱渋について詳しくはこちら!
渋柿 渋抜き(脱渋)方法について
渋柿 渋抜き(脱渋)方法について

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渋抜きのメカニズム

渋抜きで重要となるのがアセトアルデヒド。

アセトアルデヒドによって水溶性タンニンを不溶性タンニンに変化させる。

この点はアルコール脱渋・ドライアイス脱渋・干し柿ともに共通です。

アセトアルデヒド。

聞いたことある方も多いかもしれません。

二日酔いの原因物質と言われている物質だね!

このアセトアルデヒドをカキの中で作らせて、不溶性タンニンに変化させるっというのが脱渋の仕組み!

方法ごとにそのアプローチ方法が違うって感じ!

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アルコール脱渋の仕組み

カキのヘタから吸収させたアルコールが酸化反応によって、アセトアルデヒドになり、そのアセトアルデヒドが水溶性タンニンを不溶性タンニンに変化させる。

これがアルコール脱渋の理屈です。

お酒の種類によって風味も変化するので、色々と試してみると面白いかも知れません。

アルコール脱渋はイメージしやすいかもね。

メモ

近年は木になっているカキにアルコールを含んだ特殊なシールをはって、樹上で渋抜きをする、【樹上脱渋】という技術が研究されています。

【樹上脱渋】したカキは食味が良いとされるため、これからいろんな樹上脱渋したブランドガキが出てくるかもしれません。

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ドライアイス脱渋・干し柿の仕組み

【ドライアイス脱渋】と【干し柿による脱渋】

この二つって実はアプローチ方法は同じなんだ。

【ドライアイス脱渋】と【干し柿による脱渋】どちらも酸欠状態にすることで、

①呼吸反応を抑え、

②アルコール発酵を促し、

③作られたアルコールからアセトアルデヒドができ、

④そのアセトアルデヒドが水溶性タンニンを不溶性タンニンに変化させる。

といった流れです。

カキの果実も生き物なので、収穫後の果実の細胞は生きている。

カキの果実も細胞が生きるために呼吸を行い、エネルギーを作っているんだけど、

①酸素が無くなったり

②上手く酸素を取り込めなくなったりすると、

呼吸以外の方法(アルコール発酵)でエネルギーを作ろうとするんだ。

メモ

アルコール発酵は呼吸と比べ、エネルギー効率がとても悪いため、

①密閉した袋の中にドライアイスを入れ、酸欠状態を作る。

②カキの呼吸の多くをつかさどっているヘタの部分を取り、皮を剥き、干すことで、カキ表面に空気を通さない膜をつくる。この干すという作業を行うことで、果実が酸素を取り込めない状態(酸欠状態)をつくる。

ことでアルコール発酵を強制的に行わせています。

呼吸の場合、1分子のグルコースから38ATP(エネルギーのもと)が生成されるのに対し、

アルコール発酵の場合、1分子のグルコースから2ATP(エネルギーのもと)しか生成されないんだ。

ドライアイスや干す作業で強制的に酸欠状態を作ることで、アルコール発酵を促し、作られたアルコールからアセトアルデヒドが代謝され、水溶性タンニンが不溶性タンニンに変化する。

これがドライアイス脱渋・干し柿の仕組みの仕組みだよ!

近所のおっちゃん
近所のおっちゃん

理屈が分かると、視野が広がる気がするな。

それぞれの脱渋方法やおススメの脱渋方法についても、まとめているから見てみてね!

脱渋方法について詳しくはこちら!
渋柿 渋抜き(脱渋)方法について
渋柿 渋抜き(脱渋)方法について
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やくも果樹研究所 所長(中の人)
やくも果樹研究所 所長(中の人)
元果樹専門 農業技師
根域制限栽培を中心に研究中。

農業技師時代の専門はカキ・イチジク・ブドウ
好きな果物はキウイ・洋ナシ
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