第3章:植え付け1年目の管理
植え付け1年目は3本~4本の枝を等間隔にしっかり伸ばすだけ!
ほんまにそれだけ? ちょっと半信半疑なんじゃけど・・・
初めてのモモ栽培だとその気持ちも分かるけど、まずはこのイラストを見てみて!

植え付け1年目は木の骨格を作る年なんだ。
そして「開心自然形」の骨格枝は3本~4本! だから「3本~4本の枝を伸ばせ!」
ってわけ。
ちなみに「等間隔」ってのは?
等間隔に枝を配置した方が「見た目がきれいだし、管理がしやすいから」だね。
下のイラストは開心自然形(骨格枝3本)を簡易的に描いたものだけど、等間隔に枝が出ている方が分かりやすくて素敵だと思わない?

なんとなくイメージついたわ。
摘果:4月~5月(着果した場合のみ)
植え付け1年目はとにかく骨格となる枝の育成に養分を集中させる年です。
果実に養分を回す余裕はありません。早い段階で間引いてしまいましょう。
幼果まで成長させることは骨格枝育成の観点からみれば「養分の無駄」です。
「花は2年目に楽しむ」と割り切れる場合は「摘果」ではなく「摘花」・「摘蕾」を行いましょう。
その方が枝葉の成長は活発になります。
キーワードは「間引くなら幼果よりも花。花よりも蕾」です。
なんかもったいないなぁ。せっかくだし1個くらいならせても・・・。
ダメだよ、おっちゃん。
植え付け1年目の木には果実を成長させるほどの体力はないんだ。
無理にならしても「収穫前に自然落果するか」・「収穫できても美味しくないか」の2択!
木を弱らせるだけだから、来年への投資だと思って諦めよう。

↓

仕方ないな。 諦めよう・・・
残念だけど仕方ないかな。
植え付け1年目は骨格となる枝の育成に養分を最大限回さないとね!
本当だったら、果実になる前の「蕾」・「花」の段階で間引くんだけどね。
今回、果実になるまで待ってたのはなんで?
モモの花をぎりぎりまで楽しみたかったから!
そうこうしてたら、幼果まで成長しちゃってたんだ・・・
植え付け1年目でも花を楽しめることがあるけれど収穫までしようと思ったら絶対ダメ!
名残惜しくても、スパッと摘果しよう!
・・・モモの花きれいじゃもんな。
「1年目は欲張っても花まで」 を合言葉にしっかり摘果していこか。
枝の誘引・追肥:5月~6月
5月になると枝が伸び始めるね。
さて、おっちゃん。
今回は「開心自然形」に仕立てていくわけだけど樹形の完成形のイメージって湧いてる?
全然湧いてないで!
おっちゃんのそういう素直なところいいよね。
じゃあ、まずは樹形の完成形イメージを膨らませようか。

樹形イメージは上のような平面図やイラストで紹介されることが多いけれど、
いまいちイメージしにくいと思うんだよね。
ということで、今回はおっちゃんのために「開心自然形の模型」を作ってみました!


実物だとこんな感じ!

おお!!
めっちゃ分かりやすいやん! ホンマありがとうな!
おっちゃんのためならいいってことよ!
じゃあ「開心自然形」のイメージも膨らんだところで。 誘引作業をしていこうか。
5月になり枝が少しずつ伸び始めてるけど、
おっちゃん的には下の写真を見てどこか気になる枝ある?

さっきの模型と比べると・・・
この枝の角度が上向き過ぎるのがちょっと気になるな。

じゃあ、この枝の角度が寝ていくように誘引していこう!
時間が経つと枝が固まって誘引が難しくなるから、早めの誘引で枝の伸びる方向・角度を癖付けしよう!

誘引とは植物の枝を支柱などに結びつけて固定することです。
誘引することで枝を伸ばしたい方向へと導き、植物の形を整えることができます。
放っておいても思った方向に枝は成長しません。誘引で枝を狙った場所へ導いてあげましょう。
「こまめに」・「無理なく」
誘引を行い、「無理のない範囲」で少しずつ誘引を進めるのが失敗しにくいコツです。
無理な誘引を行うと枝を痛めるから「こまめに」・「無理せず」少しずつがポイント!
この時期の誘引は「枝の方向の癖付け」的な意味合いが強いね。
「枝の方向の癖付け」?
枝が完全に固まる前であれば、枝の伸びる方向をある程度誘導できるよね。
「誘導した状態」である程度時間が経過すると、枝はその状態で固まるんだ。
この枝の伸びる方向を誘引によって誘導し固めることを「枝の癖付け」と呼んでいるよ。
なるほど。なんとなくだけど言いたいことは分かったわ。
よかった! じゃあついでに「追肥」もやっちゃおう!
6月ごろになると、植え付け時にあげた緩効性肥料が切れてくるからね。
「追肥」について
●追肥タイミング:6月
●肥料の種類:速効性肥料が望ましいです。ない場合は緩効性肥料でも大丈夫です。
●肥料の量:肥料の種類によって散布量が変わるため、各肥料記載の使用量を参照してください。
肥料の量は気持ち少なめがポイント。
秋以降も肥料がダラダラ効き続けるのは避けたいから、慎重にね。
それだったら速効性肥料の方がええか。
追肥:7月~8月
7月になるとだいぶ枝が伸びてくるね。

そうやな。だいぶモモの木らしくなったんじゃないか?
そうだね!
木の様子をみて、肥料が足りてなさそうなら追肥をしておこう!
なんや? 5月~6月に追肥したのにまた追肥するんか。
植え付け1年目はとにかく枝をしっかり伸ばしたいからね。
ただし!
木の様子を見てから判断しよう! 「必要ないな」と感じたならやらなくてOK!
ちなみに、必要ないってどんな場合? 参考までに教えてや。
そうだねぇ。
例えばだけど「徒長枝」がたくさん発生しているなら、養分が供給過多になっているサインだから追肥はいらないかな。
枝の生育旺盛度を指標にするとイメージしやすいかも!
「追肥」について
●追肥タイミング:7月~8月
●肥料の種類:速効性肥料。
●肥料の量:肥料の種類によって散布量が変わるため、各肥料記載の使用量を参照してください。
せん定:12月下旬~2月下旬

↓

1年間でこれだけ成長したね。
12月下旬~2月下旬はせん定適期! 早速せん定していこう!
せん定については動画の方が絶対分かりやすいから、動画を見てみて!
6:14くらいからせん定について紹介してるよ!
これで1年目の管理は完了!
ね? 植え付け1年目は枝を3本~4本 バランスよく伸ばすだけだったでしょ?
せやな! この調子で2年目もよろしく頼むわ!
オッケー!
ということで、植え付け1年目の作業まとめ!
●3~4月に春植え。
●発芽後は3本~4本の枝を選抜し、誘引を行いながら樹形を調整していく。
※最初に樹形の完成形をイメージすることが大切。
※悩んだら完成形のイメージに立ち返ろう。
●枝の成長にあわせて追肥を行う。
※肥料の量は「気持ち少なめ」が失敗しにくいコツ。
●せん定は「骨格の邪魔となる枝を間引く」・「枝の先端を軽く切り返す」
※先端の芽の向きに注意。